今回は、長期投資の“出口戦略”を考えるうえで重要なヒントとなる、「オルカン4%ルール取り崩し検証」の11カ月目の結果をお届けします。
取り崩しを継続しているにもかかわらず、資産はなんと過去最高を更新!そのリアルな結果と、このまま続けた場合の50年後のシミュレーションまで、徹底解説します。
1. そもそも「4%ルール」とは?なぜオルカンで検証するのか
長期投資の考え方として有名な「4%ルール」を簡単におさらいしましょう。
一言で言えば、「資産の4%を毎年取り崩しても、長期的に資産を減らさず生活できる」という考え方です。
- 例: 年間生活費が300万円なら、その25倍(300万円 ÷ 0.04)の7,500万円を資産として持っていれば、30年間資産が尽きない可能性が高いとされています。
この根拠は、アメリカの過去データに基づいた「トリニティ・スタディ」ですが、日本のように為替や税制が違う環境で同じ結果になるかは未知数です。
そこでこのシリーズでは、多くの方が新NISAで投資している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカン」に4%ルールを当てはめ、日本円ベースで実際にどうなるかをリアルなデータで検証しています。
2. 【前提】検証の条件をサクッとおさらい
今回の検証は以下の条件で行っています。
- 投資元本: 100万円を一括投資
- 銘柄: eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 口座: 楽天証券の特定口座(課税口座)
- 取り崩し設定: 毎月1日に定率0.3%を自動取り崩し(年率換算で約3.6%)
- 検証開始: 2025年1月(2月から取り崩し開始)
より詳しい検証内容は、シリーズ第1回の動画もぜひご参照ください。
3. 【結論】爆益中!取り崩し11カ月目のリアルな結果を公開
それでは、検証開始から11カ月目となる今月の結果です。
10月から11月にかけての1カ月で、資産はなんとおよそ5万5,000円の増加となりました。
取り崩しを継続しているにもかかわらず、評価額は115万353円となり、過去最高を更新しています!
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 取り崩し前の評価額 | 115万353円 |
| 今月の取り崩し額(税引前) | 3,459円 |
| 銀行口座への振込額(税引後) | 3,350円 |

📈 なぜ、取り崩しているのに資産が増えたのか?
今回の評価額増加の要因は、主に以下の2点です。
- 株価の上昇: オルカンのベンチマークであるACWI(全世界株式指数)は、この1カ月でおよそ4%上昇し、引き続き史上最高値圏で推移しています。
- 円安の進行: オルカンはドル建て資産であるため、円安(円の価値が下がる)は評価額を押し上げる要因となります。この1カ月でドル円はおよそ2%の円安が進みました。
株価上昇と円安進行が重なった結果、「取り崩しながらも資産が増える」という好結果につながりました。
ただし、相場は短期的に上下を繰り返すものです。本当の意味で4%ルールが機能するかどうかは、今後も10年、15年と長期的に見ていく必要があります。今後もリアルな結果を毎月追いかけていきます。
4. 【長期シミュレーション】50年後にはいくらになる?
もし、この好調なペースで長期運用が続いた場合、資産はどうなるのでしょうか?
以下の条件で50年後をシミュレーションしてみました。
- 想定リターン: 年率7%(オルカンの想定リターン)
- 取り崩し: 毎月0.3%の定率
| 項目 | 試算結果 |
|---|---|
| 50年後の資産額 | 約560万円 |
| 50年後の毎月取り崩し額 | 約1万7,000円 |
「取り崩す=減る」というイメージが変わる結果ですね。
もちろん、これは理論上のシミュレーションであり、相場の下落や円高、インフレの影響で結果は変動します。しかし、長期投資の可能性を示す一つの参考として見ていただければ幸いです。

出典:楽天証券 定期売却シミュレーション
5. まとめ:出口戦略のリアルは来月1年を迎えます
オルカン4%ルール取り崩し検証の11カ月目。株価・為替に後押しされ、評価額はおよそ115万円と順調に推移しました。
来月12月で、いよいよ検証開始から1年を迎えます。
新NISAなどで投資信託を積み立てている方にとって、「取り崩すときに実際どうなるのか?」は最大の関心事の一つでしょう。今後、相場が調整局面に入った際の結果も含め、このシリーズでは“出口戦略のリアル”を毎月のデータを通して一緒に追いかけていきます。
ぜひ、長期投資の現実的なシミュレーションとして、引き続きご注目ください。

