株式投資の基本は「安く買い高く売る」ことです。
分かっているけど、実際にはベストなタイミングを掴むことは非常に難しいですよね。
そこで、相場の反転を見極める指標があります。
それが相場全体の過熱感が一目で分かる騰落レシオであり、逆張りトレードにかなり役立つ指標です。
- 騰落レシオとは
- 騰落レシオの特徴
- 騰落レシオを使った具体的なトレード手法
騰落レシオの使い方を知って逆張りトレードを身につけましょう。
あやせ
投資家 兼 サラリーマン
投資歴12年(2024年1月現在)
米国債券/米国ETF/米国個別株/日本個別株/国内ETF/投資信託/暗号資産FX
IDECO/ジュニアNISA/新NISA満額投資
短期トレードで月5万円ほど稼ぐ
騰落レシオとは
騰落レシオとは市場全体の過熱感を計る指標です。
一般的な目安は以下のとおりです。
- 騰落レシオ120% → 天井圏(買われ過ぎ)
- 騰落レシオ100% → 中立
- 騰落レシオ 70% → 底値圏(売られ過ぎ)
買われ過ぎであれば、将来的に下がる可能性が高くなります。
売られ過ぎであれば、反発して上株価は急上昇するかもしれません。
騰落レシオを見る事で、
- 天井圏で利益確定が出来る
- 底値圏で買える
可能性を高められるでしょう。
それでは、騰落レシオの仕組みを紹介していきます。
騰落レシオの計算式
騰落レシオの計算式は以下の通りです。
騰落レシオ(%) = 値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100
計算式に使われるのは、対象とする市場の全銘柄数です。
1日騰落レシオ
その日1日の過熱感を表すのが1日騰落レシオです。
1日騰落レシオの計算式は以下の通りです。
1日騰落レシオ(%) = 1日の値上がり銘柄数 ÷ 1日の値下がり銘柄数 × 100
例えば日経225を対象に2022年2月17日の1日騰落レシオは以下のとおり。
79% = 96(2/17の値上がり銘柄数) ÷ 122(2/17日の値下がり銘柄数) × 100
超短期トレードをしない限り、1日騰落レシオが参考になる場面はあまりないでしょう。
一般的にはトレンドが分かる25日騰落レシオがよく使われます。
25日騰落レシオ
25日騰落レシオの場合は、過去25日の上昇銘柄数の合計と下落銘柄数の合計から算出します。
25日騰落レシオ(%) = 過去25日の値上がり銘柄数合計 ÷ 過去25日の値下がり銘柄数合計 × 100
25日騰落レシオは相場全体の過熱感のトレンドが分かるため、中長期トレードに大いに役立ちます。
騰落レシオの特徴
騰落レシオは市場の過熱感を示す指標ですので、逆張りトレードにかなり有効です。
その際に意識しておきたい騰落レシオの特徴は以下のとおりです。
- 高値の信頼性は低い
- 底値の信頼性は高い
高値の信頼性は低い
騰落レシオが買われすぎを示す120%を超えた際の安易な利益確定や空売り*はお勧めできません。
騰落レシオが100%を超えて推移している時は市場全体が強気ムードのため、長期の上昇トレンドに入る可能性があるからです。
※空売り:証券会社から株を借りて先に売り建て、株価が下がった時に買い戻すことによって利益を出す取引方法
下記の画像は、日経225の2022年2月コロナショック後の長期上昇トレンドのチャートです。
騰落レシオが120%を超えてから、100%を下回るまでの期間をピンク色で示しています。
その間日経225のチャートは一方向に上昇しているのが見て取れるでしょう。
騰落レシオは高値のひとつの目安としては使えますが、120%超えは上昇トレンド入りを示唆することもあります。
そのため、利食いを早めてしまったり、空売りで大きな損失を出さないように注意が必要です。
底値の信頼性は高い
高値と違い、騰落レシオの底値は逆張りトレードの指標として大いに役立ちます。
騰落レシオが70%まで下がると株価の底値圏であることが多いためです。
下記の画像は、日経225の2019年チャートです。
売られすぎ圏を示す70%付近で騰落レシオが何度も反発していることが分かります。
それに伴い赤色チャートの日経225の株価も上昇。
実際には騰落レシオが70%まで下がることはあまりありません。
そのため、騰落レシオ80%付近を目安すれば、黄色矢印の通り上昇が獲れることが分かります。
それでは具体的な騰落レシオのトレードへの活用法を紹介します。
騰落レシオを使ったトレード方法
騰落レシオを使ったトレード方法について、
- 銘柄選定
- 相場状況別トレード手法
の観点で紹介します。
銘柄選定
騰落レシオを使ったトレードでおすすめの銘柄が、「NF・日経レバETF(1570)」「NF・日経ダブルインバETF(1357)」です。
騰落レシオは市場全体の過熱感を示す指標です。
そのため相場観を掴むための一つの指標となりますが、個別銘柄のトレードにはあまり役立ちません。
そこで、騰落レシオを使ったトレードで使えるのが、日経225に沿った値動きをする下記2つのETFです。
- NF・日経レバETF(1570)
- 日経平均が上昇したときに株価が上がる
- NF・日経ダブルインバETF(1357)
- 日経平均が下落したときに株価が上がる
つまり、日経平均が上がると思えば「1570」を買い、下がると思えば「1357」を買えばいいのです。
どちらの銘柄も、個別株と同様に取引が可能です。
しかも1株から購入できます。
2023年2月18日現在、「1570」は1株15,000円ほど、「1357」は1株350円ほどです。
出来高も多く流動性が高いETFのため、騰落レシオを使ったトレードには最適な銘柄となります。
それでは具体的なトレード手法を相場状況別に紹介します。
相場状況別トレード手法
騰落レシオは相場の状況によって使い分ける必要があります。
- 上昇トレンド相場
- レンジ相場
- 下降トレンド相場
- 暴落時
①上昇トレンド相場
高値を切り上げて株価が上がっていく相場が上昇トレンドです。
上昇トレンド時は、騰落レシオを使う場合は安易なトレードが避けた方が無難です。
強いて言えばエントリポイントは1つだけ。
騰落レシオが下がっているのに日経平均だけが急騰している場合
騰落レシオが下がっているにもかかわらず指数だけが上昇している場合、その後の急落のサインを示唆している可能性があります。
上記画像を見ると、緑線の騰落レシオがピークをつけた後に、赤線日経225が急騰し、その後騰落レシオに続くように下落が始まりました。
株価に対して騰落レシオは先行性があると言われています。
騰落レシオの方が先に動き、その後の株価の値動きを示唆するということです。
上昇トレンド時には基本的に様子見ですが、トレンド終盤で上記のような動きが見られた場合には、試しに1357を買ってみてもよいでしょう。
②レンジ相場
高値がキリ上がらず底値も割らない相場がレンジ相場は、騰落レシオを使ったトレードが有効です。
レンジ相場のトレードは以下のとおりです。
- 80%付近で1570を買う
- 120%付近で1357を買う
80%付近で1570を買う
騰落レシオが80%付近に達した時に1570を購入します。
上記の画像を見ても分かる通り、レンジ相場では騰落レシオと日経平均株価が同じような動きをしていることが分かります。
騰落レシオは70%が売られすぎと一般にいわれますが、そこまで下がることは通常の相場ではあまりありません。
そのため80%を目安にするもの良いでしょう。
騰落レシオが80%付近まで下がってくれば、ピンク矢印の通りその後の上昇を取れる可能性がたかくなります。
レンジ相場では、80%を目安に1570を分割して買うのは良い戦略と言えるでしょう。
120%付近で1357を買う
騰落レシオが120%付近に達した時に1357を購入します。
黄色は騰落レシオが120%を超えたタイミングです。
このタイミングで1357を買うことで、その後の下落で利益が得られます。
ただし、騰落レシオが120%を超えるのは非常に強気な相場です。
その後上昇トレンド入りすることも視野に入れつつ、騰落レシオ120%はひとつの目安として、1357を買うのは良い戦略でしょう。
③下降トレンド相場
高値を切り下げて株価が下がっていく相場が下降トレンドで、騰落レシオを使ったトレードに有効な相場です。
基本的に戦略はレンジ相場と同じです。
- 80%付近で1570を買う
- 120%付近で1357を買う
青色の120%を超えている付近で1357を購入。
赤色の80%付近で1570を購入。
短期的な上がり下がり両方をとる良い目安となります。
④暴落時
暴落時は売られすぎを大きく割り込み、騰落レシオは50%以下まで下がります。
市場ほぼ全ての銘柄の株価が暴落します。
このような暴落時に取る戦略はひとつです。
・優良な個別銘柄を買う
トレード自体の戦略が異なってしまいますが、市場暴落時には、どんなに優良銘柄も株価が大きく下がります。
そのため、普段高値で買いにくい人気の優良銘柄を安値で買う大きなチャンスです。
そこで気になるのが個別銘柄をいつ買えばよいかということでしょう。
下記画像はコロナショック時の騰落レシオです。
コロナショックの際には、騰落レシオは40%まで下がりました。
下記画像は過去10年間で騰落レシオが70%を割り込んだ時の大底です。
70%を割り込んだ際には、最悪40%まで下げることがあることを覚えておいた方がよさそうです。
ですがこれは暴落の大底を見極めるのにも使えます。
逆に言えば、騰落レシオが50%を切ることはめったにないこと。
ここまで下がれば大チャンスととらえ、優良な個別銘柄を強気に買い向かってよいでしょう。
まとめ|騰落レシオは買いに使う
騰落レシオは株価の大底をねらうのに適した指標です。
騰落レシオを使ったトレードをまとめると
- 上昇トレンド
- 様子見
- レンジ相場
- NF・日経レバETF(1570)を80%付近で分割買い
- 下降トレンド
- NF・日経レバETF(1570)を80%付近で分割買い
- 暴落時
- 優良個別銘柄を全力買い
騰落レシオは逆張りのトレードに大いに役立ちます。
しかし、あくまでひとつの目安であり絶対ではありません。
騰落レシオ以外にも逆張りトレードに使える指標を紹介していきますので、気になる方は別記事も参考にしてみてください。
- nikkei225jp.com
- 投資の森
- かぶれん
- マネックス証券
- 楽天証券では騰落レシオは確認できません
- SBI証券では騰落レシオは確認できません